今回はMIYAMUさんの『ホワイトカメリア』を紹介します。
大人にも響く恋愛小説として紹介されていたので、ずっと気になっていました。
大人の恋愛小説の貫禄、やはり表紙もおしゃれです。
甘くてビターな感じを想像しておりますが、さて、どんなお話なのでしょうか!
目次
あらすじ
ビルに入っているbar"citr0n”に集う大人な男女6人のリアルでもどかしい恋愛模様。
感想
今まで読んだ小説の中で群を抜いてオシャレな大人のリアルな恋愛模様。
最初の方は6人の登場人物を覚えられず、誰がどれだっけ……と苦戦気味でしたが、読んでいるうちに覚えていきました。
でも、人間関係が入り組んでいるので、たまに見失います。
ある意味、そういうところがリアルさを補強しているように感じます。
「この2人は恋人」みたいなハッキリとした事実ではなくて、想い合っているけれど、恋人というにはグレーゾーンみたいな。
この人、本当はどうしたいのかな。みたいな。
駆け引きと心理戦、時々ドロドロ感がもう、リアル。(何度も言うくらいリアル)
そして会話がテンポよくて、ギャグや切り返しがおもしろいので、たまにクスッとなります。
言葉選びが現代っぽいというか賢い若者っぽいので「そう返すか!」「なにその例え、おもしろ! 真似しよ!」ってなりながら、楽しく読んでいました。
会話だけではありません。
描写も比喩が秀逸でおもしろいです。そして詩的だから、かっこいい。
全体的に文章が新鮮で、素敵でした。
お話の中で、実在する人物たちが度々登場するのですが、Brian the Sun(ブライアンザサン)と相対性理論というバンドが出てきたことが嬉し過ぎて、感激でした。(大好きなの)
6人の男女が登場するので、やはり私にも彼らの好き嫌いは出てくるものです。
外見は置いておいて、長嶺千里がダントツに好きです。
悪いところが見当たらない。だからこそ怪しいけれど、でも一番魅力的です。
靴下や菜箸の片割れを失くしがちなところとか、それを「旅立った」と解釈するユーモアさとか。かわいい。
あと、千里さんのレモネード飲みたいです。おいしそう。
椿は、最初はどちらとも言えない印象だったのですが、終盤で一気に印象が爆上がりしました。かっこいい。
6人の恋模様が延々と続いて終わるのかと思っていたら、まさかの意外な衝撃展開が突如おとずれて、そこで一気に引き込まれました。
そんな展開になるお話だったの……!?
十何年後のお話になってからも内容が濃かったです。
なんだかより一層、千里の存在感が増して、同時に感動しました。
時を経て、意外な部分の伏線回収がされて、動揺しつつも感動しました。
そして十何年後という、時代が違っても、同じ場所でまた恋や愛が生まれて始まっていくというシナリオに高揚感が高まって、心がポカポカするのでした。(綾波レイの気持ち)
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都会の大人男女が繰り広げる恋愛模様なのだから、名言もわんさか出てきます。
ここからは、個人的に響いた名言集を並べていきます!
多分、恋は素数だ。当事者同士でしか感情を割り切れない。外野がずかずかと入り込んできたとして、綺麗に解決などできはしない。
本文P103より
助言はできても、結果は当事者2人の言動でしか動かない。わかるな~。
期待と絶望は箸のようなもので、ふたつでひとつなのだ。絶望したくなければ期待も捨てるべきだ。
本文P144より
期待と絶望は紙一重って、誰か言っていたな。
一緒にいて寂しい人とは、一緒にいてはならない。
本文P174より
一緒にいて不安にさせる人は違うって、これも誰かが言ってたな。
「誰にでも惚れていいんですけど、誰かと離れるにはちゃんと説明が必要ですからね。勝手にさっといなくなるのは子供ですよ。納得させる言葉を培った人間だけが、大人になれます」
本文P200より
要は最後にちゃんとケジメを、責任を持つってことですね。相手に失礼ですからね。とても大事です。
「女性は男性に可愛いと思ったら、男性は女性にかっこいいと思ったら、もう後には引き返されへんくらい惚れ込んでもうてるらしいで」
本文P207より
これは、新感覚な考えでしたが、言われてみれば、たしかに私も可愛いに弱い。
「恋かもしれない、はもう恋だし、絶対にこの人に恋しちゃダメだと思うのも恋ですよ」
本文P223より
恋というワードが浮ぶ時点で、恋は始まっているのです。たしかに!
「本当の友情に男も女も関係ないのよ。少しだけそこに、異性としての魅力を感じているときに、人は男友達、女友達って冠をつけるの。小学生のときはみんな”お友達”だったでしょ?」
本文P228、229より
説得力あるお言葉です。異性と認識しているから、わざわざ頭に男女をつけるのか~。
「私たちは、刺激が多い人を忘れられずにいるけど、不安が少ない人を最後には選ぶんだと思うよ。(省略)失恋が終わるときって、私このままでいいかも、と思えるときなんじゃないかなって」
本文P233より
そう! すっごくわかります! 添い遂げる相手は結局安心感なんですよね。決め手はそこですよね。
最後に
予想外の結末だったので、すごく印象的なお話でした。
恋愛のお勉強にもなります◎
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