本好きの秘密基地

読んだ本への思いをありったけ書いていきます。読みたい本探し、本の感想を共有したい、おすすめ本がある(いつでも募集中だよ)。そんなアナタの場所でもあります。コメント欄で意見などを待っています。(誹謗中傷NG)

汝、星のごとく/凪良ゆう

今回は凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』を紹介します。

第168回直木賞候補作、第44回吉川英治文学新人賞候補作

2022王様のブランチBOOK大賞、2023年第20回本屋大賞受賞

未来屋小説大賞第2位……(賞、ノミネート、ランクイン多すぎてここまでで省略)

 

発売前から装丁がきれいで一目惚れし、発売当初から話題になっていて更に気になる存在に。

装丁や感想、賞などの圧倒的な貫禄にたじろいで、大事に保管していました。(はよ読め)

はい、読みます! ついに読みますぞ!!

 

目次

 

あらすじ

島で恋焦がれた2人が、あらゆる現実の邪魔に阻まれ、すれ違いながら、遠くに暮らしながら、それでもお互いを愛し合わずにはいられない波乱万丈愛の物語。

 

感想

「感動した」の一言では足りません

それよりももっと上の言葉が欲しい。たった4文字で言い表すには壮大過ぎる

感極まって、鼻の奥がじーんとしました。

あまりの大作に、読書中エネルギーの消耗が激しかったです。(良いこと)

2人の人生に、2人の大恋愛に、引き込まれて夢中になり、苦しくて、でも2人の生き様が美しくて

感情が揺さぶられました。

やり切れなさや理不尽さ、ままならなさが本当につらくて、悲しくて、切ないです。

私は遠距離恋愛なんてしたことないし、親も素敵な人なので、同じような経験はしていないけれど、2人の葛藤や焦燥、自己嫌悪が痛いほど身に沁みます

経験したことないのに、共感する部分が多いです

何かに縛られて生きる不自由さ、歯がゆさ。

そして環境やライフステージの違いによって起きる、価値観や心のすれ違い

ああ、やっぱりそうなるよな……と感じながらも、先が気になる。

そしてついに大きく動き出し、プロローグに結びつく状況が整った時には、やっと自由になれた2人の姿に気分が高揚しっぱなしで、そのまま一気読みし、苦しくて切ないけれど、美しくて愛おしい物語だと感じました。

 

願いを叶える瞬間が一番泣きそうになりました。

私もつい、手を拳にして力が入ってしまいました。

このラストはずるい。泣く。

波乱万丈な人生の締めくくりにこれは、最高なシチュエーション。

 

親の依存、押し付けによる束縛によって、生きる不自由さを強いられる場面が多いこのお話。

それに絶望したまま生きるのか、この束縛から自力で脱するのか。

その術も良き大人たちが教えてくれます

瞳子さんなんて特にダントツにかっこいいです

良くないことをした立場の大人ですが、瞳子さんのセリフはほぼ名言です。

心に刺さるし、響くし、ハッとさせられる言葉たち。

物語も壮大で胸が熱くなるし、それでいて名言ぞろい。

贅沢な一冊です。

 

心理描写も素敵です。

言葉選びのセンスや喩えが秀逸なのです。

おもしろい言い回しでわかりやすくて、きれいで、ずどんと響く。

物語の構成も最高ですが、心理描写や、心に残るセリフを書くところも凪良さんの人気ポイントなのかもしれません。

 

名言まとめ

ここからは、個人的に響いた名言をつらつらと並べていきたいと思います!

< スポンサーリンク >    

「わたしは仕事をしていて、それなりに蓄えもある。もちろんお金で買えないものはある。でもお金があるから自由でいられることもある。たとえば誰かに依存しなくていい。いやいや誰かに従わなくていい」

本文P75より

自立してお金を稼ぐことが、具体的にどんな意味があって、武器になるのか。

自由になれる武器。この言葉を聞いて、自分自身を養うことの重大さやメリットに気づかされて、働く意欲が増しました。

 

良い教師と良い大人はイコールではなく、良い大人と正しい大人もイコールでは結べない。

本文P82より

良いと正しいは別物。これもハッとさせられました。

 

「いざってときは誰かに罵られようが切り捨てる、もしくは誰に恨まれようが手に入れる。そういう覚悟がないと、人生はどんどん複雑になっていくわよ」

本文P93より

情に流されると、後々自分に面倒が降りかかる

どうしようもない時は、周りにどう思われようと自分を優先にする。今後面倒なことになったら意味がない。

その切り捨て、手に入れる勇気も大事ですね。

 

安心感は侮りによく似ている。

本文P166より

うわ! わかる!!

信頼している、安心しきっている相手に対しては、適当な態度を取ったり、バカにしてしまったりする。されたりもする

気をつけてはいるけれど、親しき中にも礼儀ありは案外難しい

 

永遠に辿り着けない場所を目指して疾走するものが恋ならば、ゆったりと知らないうちに決定的な場所へ流れつくものが愛のような気もする。

本文P209より

恋と愛の違いはよくいろんなところで議論されます。

恋は闇雲に走り出して、その場の勢いで、先が見えない。ゆっくりと歩くようになって、未来がが見据えられるようになれば愛に変わるのでしょう。

ここでは恋(絵里さん)と愛(暁海)という比較ですが。

 

群れを追放されたって、ここが世界のすべてじゃない。

—―自分を縛る鎖は自分で選ぶ。

本文P294より

学校も、職場も、家族も、友人も。そこだけが世界じゃない

嫌なら、追放されたら、そこから離れればいい

離れられないなら、違う世界を逃げ場にすればいい

 

パートナーがいてもいなくても、子供がいてもいなくても、自分の足で立てること。それは自分を守るためでもあり、自分の弱さを誰かに肩代わりさせないということでもある。人は群れで生きる動物だけれど、助け合いと依存は違うから――。

本文P301より

どんな状況でも自立することは自分や周りを守ることになるから重要

支えてくれる人がいるからって、甘えすぎはお互いに良くないのですね。

助け合いと依存は違う。この言葉も胸に刺さりました。

 

わたしは愛する男のために人生を誤りたい。

わたしはきっと愚かなのだろう。

本文P310より

かっこいい!

人生を誤ることに誰しも怯える。私も主人公も。

でも、愛する人のためなら、人生を投げ打ってでも、人生がどうなろうと構わない

自分の人生を棒に振ってでも、誰にどんな目で見られても、愛する人のためなら。

それくらい愛せる人がいるって、ロマンチックでかっこよくて、幸せだなと思うのでした。

 

最後に

読む前から、がんがんにハードルが上がっておりましたが、それでも新鮮な気持ちで最高だと思えるお話でした。

私の好きなラブストーリー更新記録が出ました◎

< スポンサーリンク >