今回は永井するみさんの『秘密は日記に隠すもの』を紹介します。
『欲しい』を読んで好きになった永井するみさん。イヤミスを得意とする方です。
本作は永井するみさんの絶筆となった最後の作品です。
早くに亡くなられたことがとても残念です……。
さて、この作品にある日記には一体どんな秘密が隠れているのでしょうか!
目次
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あらすじ
ある老若男女それぞれの衝撃的な秘密が記された4編からなる日記集。
感想
どの日記も衝撃展開どんでん返し炸裂で、びっくりでした。予想できないよ、そんな展開!
してやられた感。騙された。騙されない読者はいないはず。
さっきまでの日記、え、どういう、あ、そういう……ちょ待てよ!(キムタクね)
4つとも大体こんな心境になります。
急に今まで想像していた場面、設定が崩れ落ちる感覚。度肝を抜かれます。
日記の書き手が、ひとつ前の日記の書き手と繋がっているのもおもしろいです。
それにしても秘密というには衝撃的すぎる。とんでもない秘密を綴っている。
日記だからこそ隠せる秘密。
どれもインパクト強めのラスト(秘密)でしたが、強いて言うならば『夫婦』がやばかったです。鳥肌が……。
『トロフィー』
出だしからガツンと衝撃的な内容。嫌な予感しかしないのと同時に、これからどんなことが語られるのかという好奇心が高まりました。
殺人犯の日記かなと思ったら、裕福だけど悩みを抱える女子高生の平凡な日記に切り替わった。かと思ったら、全然平凡じゃなさ過ぎてハラハラしました。
やばいって! それしちゃやばいって!!(ひとりはしゃぎ)
冒頭の日記の伏線回収で二度目の衝撃。しかも一気にいろんな衝撃があって情報過多。
オチとしては、この家族こわっです。仮面家族的なやつかな?精神的にいつか狂いそう……。
『道化師』
一話目の母の兄の日記。
こちらは一味違った雰囲気の読後感でした。この中では一番穏やかだけれど切ない読後感。
といっても、どんでん返しはすごかったです。騙された感がすごかった。
流れに反したどんでん返し。
そっち?! え、そっちかよ!! という大胆な軌道修正が入りまして振り回されました。
日記の最後の最後に、書き手の設定(ハンデ)が全て提示されたときは予想外で衝撃だったのと同時に苦しかったです。彼の無念さが、ずしりときました。
ハンデが有ろうが無かろうが苦しい。けれどかっこいい。
自分の信頼する二人を応援しようと、協力しようとする気持ちがかっこよかったです。
このどんでん返しは感動するタイプでした。びっくりしたけれど。
『サムシング・ブルー』
二話目のちきりんの日記。
不倫をしている女性の日記。そして結構もう彼女が暴走し始めている……
と思いきや! 出ました、どんでん返し!!(待ってました)
ああ、もう救いようのないところまで不倫愛に狂ってしまったか。
と思ったら、急に雰囲気が変わって種明かし。
私もまんまと騙されました。優秀主演女優賞を贈ります。
なるほどねえ、ただのお節介好きだったわけか。その本質を知ってしまったら鬱陶しいのわかります。でもこれはさすがに大掛かりな仕掛け!
痛快だったけれど。
『夫婦』
三話目の隣人夫婦の日記。
一番すごかったです。おもしろいくらい何度もどんでん返しが来て、衝撃を受ける。
そしてこれは完璧なイヤミスであり、衝撃の中の衝撃的なラスト。
あらゆる全てのものがひっくり返るので、ジェットコースターです。
イヤミスとして完璧だったのですが、同時に夫婦のお互いの感情がリアルで、それをベースに起こった事件なので、実際にありそうで鳥肌が立ちました。
熟年夫婦の闇。おー、こわいこわい。
現実の熟年夫婦よ、どうか円満な夫婦であってほしい。私に夢を持たせてくれ……!
秘密は日記に隠すもの
一番このセリフを言いそうな夫人でした。
最後に
短編で日記調でも衝撃的で完璧なイヤミスを仕組む永井さんでした◎