本好きの秘密基地

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老人と海/ヘミングウェイ

今回はヘミングウェイ老人と海を紹介します。

世界的に有名な名作。

私は中学生の時に、授業で観た「名作をPVにしてみた」的なビデオでこの作品の存在を知りました。ちなみにそのPVは老人と大魚の戦いを迫力ある感じで表現していたような記憶があります。(ちなみにカミュの『異邦人』などもPV化されていて、それらもずっと気になっている)

そういったこともあり、いつか読んでみたいなと思って早15年。(長っ)

表紙も素敵だったので、やっと手に取りました!

夏のうちに読もうと思っていたけれど、まだ夏よね? セーフよね?

物語の舞台は9月だし、なんならストライクよね?

では行ってみよう。ヨーホー! (海賊の話ではないし、小舟だしちょっと違うね)

 

目次

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あらすじ

不漁続きの老人は、今日こそは大物を釣れそうだと期待して、その日もひとりで漁に出る。

期待通り大物がかかったものの、その大物は手強く、なかなか釣りあげられない。両者譲らずの数日間に渡る老人と大魚の耐久レース。

その後の帰路で、今度は海という自然との戦いが次々と老人の目の前に立ちはだかっていく

 

感想

意外にもおもしろく楽しかったです!(意外って失礼ね)

冒険ものが好きな人は絶対楽しめるやつ。海とか魚釣りが好きな人も。

世界的に有名な名作なのでハズレではないとは思うものの、だいぶ昔のお話だし、題材がシンプルなので、へえ~って思うくらいかなと。正直あまり期待せずに読み始めました。

ところが。

老人の人柄がいろんな意味で良く、完全に惹きつけられました。

老人を慕う少年とのやりとり

話し相手のいない船上でのひとりごと

魚や鳥たちとの一方的な会話

自分を鼓舞するためのひとりごと

自分の身体との会話……

老人の会話は時におもしろく、時にかっこいい。

 

敵(?)である大魚へのリスペクト。これには、相手は魚だけれど、ライバルへの敬意みたいな、男の友情みたいなものを感じ、老人かっこいいなと思いました。

だって敵じゃん。獲物じゃん。普通、数日間も寝ずに漁に奮闘していたら罵倒を浴びせそうじゃん。(私はヘタレなのでそう思う)

それなのに「兄弟」と呼んで褒め称えている。男の中の男

それでも容赦なく仕留めようとするんだけれどね。

そもそも、お互い数日間よく諦めなかったな。私だったら1時間も保たないや。

 

そんな両者の戦いの中で印象に残っていることが二つあります。

ひとつは「あの子がいてくれたら」と少年に何度も何度も思いを馳せるところ。事あるごとに。

そこには少年を恋しく思い、頼りにしていることが想像できるのと同時に、少年にこの海での戦いを見せて(教えて)やれたらなという師匠目線の部分も感じます。

二つ目は、回想として出てくるつがいのカジキの片割れを掛けたお話

片割れが仕留められても、最後まで側を離れなかった。その生き延びた方のカジキのことを思うと胸が苦しくなります。でも仕方ないことなんだよな。生きるってそういうことだ。(割り切るのに必死である)

 

老人と大魚の戦いがクライマックスのように思えますが、じつはまだまだ終わらない。

遠くまで来てしまった老人は大魚を連れて、またその遠い距離を帰らなければならないわけです。数日間戦って体力消耗が激しくても。

でも一番の問題は体力じゃないんです。大魚からはもちろん血が流れだしているので、そのにおいを嗅ぎつけたサメたちが立ちはだかい続けるわけです!(これは盲点でした)

せっかく仕留めた大魚。大手柄。これを無事に連れて帰らねばならないのに!

次々とサメたちが……! あああああ!!

報われないなあ。でもこれが現実。これが自然の厳しさ。

ここまできて、この物語が名作と言われる意味がわかりました

現実は甘くない。わかっているけれど……!泣

 

老人の帰りを待っていた少年の優しさはすごく心に沁みました。

めちゃくちゃ老人のこと好きなんだなあ。

 

ラストはエモかったです。余韻がすごいです。海に浮かぶ大魚の亡骸が、数日間に渡る老人の戦いの全てを物語っていて

それを少年や漁師たちが汲み取っているのも、なんかエモい。

 

話がちょっと変わりますが、老人の野球好きには親近感が湧きました。昔も今も、プロ野球メジャーリーグ)を楽しむ心は変わらない。

 

中編なのに内容が濃くて、おもしろかったり、楽しかったり、苦しかったり、悲しかったり。様々な感情が飛び交っていました。

 

最後に

戦士のような心を持った老人のたくましい冒険記の楽しさと同時に、現実や自然(海や生き物)の厳しさを教えてくれる、まさに名作でありました◎