今回は森見登美彦さんの『四畳半タイムマシンブルース』を紹介します。
もりみんこと森見登美彦さんの最新作。映画アニメ化も決定しております！（いぇーい！）
このカバーイラストを手がける中村佑介さんも常連みたいなものですね。今回のカバーイラストも素敵です。よく見ると、この作品の全てが詰まっているイラストなので、読後、みなさんもじっくり見てみてくださいな。
目次
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あらすじ
上田誠さんの舞台『サマータイムマシン・ブルース』と森見さんの代表作『四畳半神話大系』のコラボ。つまり『サマータイムマシン・ブルース』をベースとした『四畳半神話大系』のスピンオフみたいな感じです。もっと言うと『サマータイムマシン・ブルース』の『四畳半神話大系』バージョン。
四畳半に長く設置されている年季の入ったクーラーのリモコンが壊れ、突如現れたタイムマシンに乗り、壊れる前のリモコンを昨日へ取りに行くが、宇宙滅亡の危機に直面するというヘタレ大学生×SFのお話。
森見登美彦さんにつて語らせてください
何年か前、私は森見ワールドの沼にハマりました。
古風で生真面目な文章なのに内容は笑えるほどしょうもなくて下らない。（褒めています）
この生真面目な純文学っぽい文章としょうもない内容のギャップにやられたわけであります、私は。
登場人物もキャラが濃くておもしろいし、その人物が繰り広げる馬鹿げた話も思わず吹き出してしまうほどにおもしろい。（褒めています２）
主人公も古風にかっこよくスラスラと語っているけれど周りに振り回されてヘタレ全開なのが最高。（褒めています３）
そう、京都のヘタレ学生を描くと最高におもしろい森見さん。
今回の作品もこの系統にあたります。
ちなみにヘタレ学生の話ではない作品たちも、ちゃんとおもしろいです。
なんせ、世界観が不思議で引き込まれる作品ばかりです。
森見さんの描くキャラは大体強烈に個性強くて、登場人物だけでも魅力的です。
そして不思議の国の世界へ誘われ、不思議な気持ちのまま読み終わる。
私はこのもりみん沼に『恋は短し歩けよ乙女』を読んでから『熱帯』までずぶずぶハマって行きました。もちろんこの作品を読んでまたずぶっと。
さらに森見さん作品のおもしろいところは……（もうそろそろ黙って本題に入ろうか）
感想
『四畳半神話大系』の続編（？）というよりスピンオフなだけあって、やはり大好きな森見ワールド全開でした！（いぇーい！）
前作に出てきた登場人物が今回も大暴れで、目を離した隙に何かしらやらかしていて何度も吹き出したし、主人公がそんな周りに翻弄される姿も実に滑稽でおもしろく、読んでいて楽しかったです。あっちもどうにかしなきゃいけないけれど、こっちもどうにかしなきゃ……みたいな。ツッコミが一人しかいない新喜劇みたい。
前作を読んでいる人からしたら『四畳半神話大系』の同窓会に参加している気分になるかと思います。（読者はただの傍観者）
『四畳半神話大系』を読んでいない人でも、人物や物語設定がちゃんと説明されているので楽しく読めると思います。
クーラーのお通夜という場面があるのですが、そんなことをするあたりがもう下らなくて愛しいです。この発想めちゃくちゃおもしろい。
そしてクーラーのリモコンごときで宇宙滅亡の危機だの、宇宙の命運は自分にかかっているだの、誇大妄想すぎて最高です。
個人的に一番個性が強くておもしろかったのが樋口氏。師匠。
ヴィダルサスーン愛用者なのですが、ヴィダルサスーンへの執着が半端ないし、忘れた頃にまたヴィダルサスーン。ヴィダルサスーンという単語が出るたびに吹き出しましたし、ヴィダルサスーンの結末も樋口氏らしくしょうもなくて「なーる笑」と思いました。
「ニッポンの夜明けぜよ！」しか言わないのもツボ。最強なキャラです。
伏線回収（？）もお見事でした。
河童様の正体、明石さんをデートに誘った人物の正体、モッサリくんの正体、時をかけるリモコンのこと、そして今後将来の二人の関係。そう繋がるのかあ。繋がり方もおもしろかったです。
そして最後の締めくくり方、とても素敵でした。
主人公らしい語り口で事の顛末を語るんですけれど、はっきりは言わないんですけれど、でも誰にでもわかる言い回しで締めくくっていました。しかもその言い回しが、かっこつけたんでしょうが、普通にかっこよかったです。
成就した恋ほど語るに値しないものはない。
もうこの一文に全てが詰まっている感じ。みなさんも恋愛話で困ったときは是非使ってみてください。（何様）
『四畳半神話大系』のことも少し出てきて、読んだことある身としては感激でした。
『サマータイムマシン・ブルース』もチラッと出てきてこれも素敵。
最後に
あの何をしでかすかわからなくておもしろい四畳半の皆さんの物語にまた出会えて感激でした。
『四畳半神話大系』を読み返したくなりましたし、『サマータイムマシン・ブルース』も観たくなりました◎
もりみん万歳！！
