今回は結城真一郎さんの『#真相をお話しします』を紹介します。
2023年本屋大賞ノミネート作、第22回本格ミステリ大賞ノミネート作です。
収録されている短編『#拡散希望』は第74回日本推理作家協会賞短編部門受賞。
という感じで話題にならないわけがない短編集なのです。
表紙も不穏で、でも好奇心も刺激されて、ゾクッとします。
目次
あらすじ
現代日本の風潮×ミステリーを題材とした、衝撃走る真相明かし5篇。
感想
一気にゾゾゾッと鳥肌が立つ衝撃強すぎる真相。
騙してやろうという作者の執念と完成度の高さにも鳥肌が立ちます。(帯にもありましたが共感)
短編というコンパクトで限られた時間に強烈な真相が投げ込まれて、爪痕を残していく。
しかもこのレベルが5篇ですよ。
一冊まるっと読み終えた後はアドレナリンがとんでもないことになりますよ。放心状態になりますよ……!
刺激的な真相ぞろいなので騙されたい人や驚きたい人にとてもおすすめです。
本屋大賞やらなんやらノミネートも頷けるクオリティです。
どんでん返しの迫力すさまじい注意報発令です。
現代の社会情勢がテーマになっている5つの真相。
教育傾向やSNS、情報ネット社会をリアルタイムで生きているからこそ、この怖ろしい真相が近しく感じられて、さすがにそんなことは……と思いながらも内心他人事ではない気もする。
便利で娯楽も溢れた現代社会。
でもそれを逆手に取るとこんなにも怖い事件が起きる。
一昔前ではありえないような事件が。
そんなことを大袈裟なのかもしれませんが痛感します。
この短編集の魅力ポイントを意見させていただきます。
ずばり。
各話の冒頭が不穏な上に意味深なのです。
「まさかそんなことになろうとは思いもしなかった。発端は○日前に遡る」みたいな感じで、好奇心をガンガン煽ってくるのです。
こんな前置きをされたら何があったのか気になって無視できないのが人の性。(だと思っている)
掴みが上手いよぅ。ずるいよぅ。
ずるずると引き込まれちまう。
抗えぬ……!
完全に作者の思うツボです。完敗です。(もともと勝ち目などないのだ)
『惨者面談』
まず一度、なるほどそういう可能性があったか! というスッキリドッキリ。
漫画やドラマの『ミステリと言う勿れ』に似たような案件を目にしていたので、すっかり騙されちまったぜ☆という気持ちで若干余裕かましていましたが。
真の驚きはそこではなかったのです。
ききき君も……!?(very狼狽)
最近の小学生は賢くて大人顔負けとは思っていたけれども、おいおい。
子供はやはり子供らしく純粋無垢であってくれよ……泣
小学生だからって侮れない。油断ならないなと感じました。
年齢なんてただの数字だもんね。(Dr.チョコレートネタ)
でもやっぱりさあ……。うむ。
はあ、やれやれだぜ!(こちらはジョジョネタだな)
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『ヤリモク』
タイトルからして嫌な予感はしていましたが。
こわいこわいこわいって!
完全に油断してしまいました。いや、油断していなくても、まさか彼が噂のアイツだったなんて誰が想像できよう。
手段選ばない感じにサイコパス味を感じます。
いくらそれが最愛の人のためであっても、ダメだよそれは。狂人の域に達してはだめだよもう……。
最後の展開にさらにゾクゾクなのですが、主人公どうしたのかしら。
さすがに彼女が来るまでに去ったかしら?
『パンドラ』
良かれと思って取った行動が、十数年の時を経て、知らないままの方が良かったであろうとんでもない真相を浮き彫りにしてしまう。
精子提供時の謎めいていた相手の言動がスッキリ解明されたものの(これもまあ衝撃)、それと同時に疑いもしなかった親子の矛盾が生じる。
変な汗をかきました。
複雑に、緻密に交差する血の繋がり。
心から家族だと思えば、血の繋がりなんて関係ないけれど、ショックはありますよね……。
『三角奸計』
タイトルが秀逸です。まさに字面通り!
ちなみに「奸計」とは、悪だくみという意味です。(またひとつ賢くなりました)
緊迫感に押しつぶされそうなスリリングリモート飲み会でした。
宇治原の執着と容赦なさ過ぎな言動が怖いです。絶対怒らせてはならないタイプだ。
リモートを利用した鎌かけか。今の時代どんな手段でも使えるから怖ろしい。
主人公が咄嗟に出した最後の言葉でジャッジはクリアしたものの、もう友人としてやっていけないでしょうよ……。
「やっぱり、”大切な話はリモートじゃなく対面(リアル)ですべき”だな」
本文P180より
おっしゃる通りだが、さらにアナタの怖ろしさが増したわよ……。
『#拡散希望』
壮大な仕掛けで、もしこれが本当に現実でも実行されていたら引くレベルです。
ここまで到達しないでほしいけれど、いずれこんなことが起きる可能性もある世の中だからな~。
てか、チョモランマって本名なのかよ!
(さすがにキラキラネームでも酷すぎないか!)
でも真相を知れば、このキラキラネームを名付けられてしまった経緯に納得です。
こんなYouTube見たくないな~。悪意感じるよ……。
最後は委ねられましたが、どうなるかな。多分、突き落とされるだろうな。
彼らの懸命な、親や視聴者世間に対する宣戦布告の火ぶた。
派手だけれど、彼らがされてきたことを考えたら、こうなっても文句は言えまい。
最後に
ちょちょいとあっという間に度肝を抜かされて、かなり楽しい一冊でした◎
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