今回は斜線堂有紀さんの『楽園とは探偵の不在なり』を紹介します。
2020、2021年のさまざまな主要ミステリランキングにランクインしている作品です。
タイトルがかっこいいし(意味わかっていない)
表紙デザインも不気味感ありつつ素敵で惹かれる。
そして「探偵」と出ているからには、私の大好きなミステリーよね?
でも要約すると、楽園には探偵はいない。え、探偵出てこないフラグ?(出てきます)
戸惑うのはここまでにして、いざ!
目次
あらすじ
2人以上殺めた人は天使に地獄へ引きずり込まれていく世界。
そんな天使の活躍に怯えてか、テロを除く連続殺人事件は起こらなくなり、探偵の存在意義は薄れていった。
未だ探偵として活躍している主人公は、天使マニアの大富豪に島(館)へ招待される。
そこで地獄に堕ちることを怖れる人類には不可能だと思われていた連続殺人事件が起きる。
犯人はどうやって天使の目を欺き、地獄に堕ちずに連続殺人を行ったのか。
感想
設定がおもしろいです。そそられます。
2人以上殺めたら地獄に堕ちる。でも1人目はセーフ。
ゲームみたいです。
普通に考えたら、2人目を殺めた時点で地獄に堕ちるのだから、地獄に堕ちたくないならば連続殺人は不可能です。
天使はそこかしこに飛んでいる世界だし、絶対見つかる。
本当にどうやってこのルールをすり抜けて連続殺人ができたのか。私には難解でした。
最初は交換殺人を疑いましたが。そう、交換殺人をしたようにも見えるのです。(なぜ言い直した)
でもそんな単純なことではない気がする。そもそも地獄に堕ちるリスクを最初から覚悟しているのなら、交換殺人は考えない。テロを起こす方法を取るでしょうし。
と考えていたら、解決篇に突入しました。( ゚Д゚)
お察しの通り、トリックも犯人も予想できませんでした。(毎度のことです)
こんな計算されたトリックを一人で考えて、一人でやってのけたとは。
天使降臨以降、トリックなしで証拠も残すような単純な事件ばかりが起きていた世界。そこで久々の巧妙なトリックと完璧な証拠隠滅を成し遂げる事件が起きてしまったのです。
探偵の腕がなりますねえ。
犯行動機で今までの伏線回収がちゃんとされて、すっきりしました。
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ハッピーエンド! 素敵なハッピーエンドでした!(なぜ言い直したその2)
私が一番グッときたところ。それは犯人の部屋にあったペンを用いたメッセージ。
犯人が最後に「ペンを払って」という意味深な言葉を残すのですが、それは
自室の机の上にクロスして置いてあるペンを払ってほしい。
そのペンが表すのはヴィクター(本船は救助を要する)のマーク。それを払ってほしいと頼んだのです。(さっきからしつこいね)
つまり私に助けはもう不要だと伝えたかったのですね。
犯人は万が一のことを考えて、この救難信号を残していました。しかし探偵が真相を全て暴いてくれたので満足、未練はない。
あったかい涙が出そうです……。
個人的にはちょっと読みづらい文ではあったのですが、そこは個人差があるので私だけかもしれないです。
読みづらくとも、設定がおもしろいので楽しかったです。
アニメ化したらもっとおもしろそうな世界感です。
読書中、ちょっとだけ『屍人荘の殺人』が過りました。何かが共通している気がする。
最後に
連続殺人が絶対的に不可能な中で起こる連続殺人。
設定も世界観もおもしろくて、トリックも文句なしの読後感が素敵なミステリでした◎
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