今回はロバート・ロプレスティさんの『日曜の午後はミステリ作家とお茶を』を紹介します。
タイトルに惹かれて即購入したものの、2年くらい手を付けていなかったのです。
なぜ私は購入して満足してしまうのか……笑
久しぶりの海外作品に少し気が引き締まる思いです。
目次
あらすじ
ミステリ作家シャンクスには、事件やその相談が付きまとう。
ぼくは話をつくるだけ。
と、乗り気ではない彼も結局最後には、事件を解決に導いてしまうのであった。
感想
こちら少し併読して読んでいたのですが、最後のお話を読み終わってしまった時、ちょっぴり寂しい気持ちになりました。
14話もずっとシャンクスやコーラと過ごしたのだから、無理もない。
彼らに愛着が湧いてしまって、読み終わって別れるのが寂しい。
そう思わせてくれるのはシャンクスの人柄にあります。
ちょっと皮肉屋で、小粋でお茶目。
面倒くさがりだけれど、なんだかんだ結局頼まれた事件の解決や手助けをする。
コーラにお行儀よくしてと言われたりするところなんかもかわいい。
とにかくチャーミングで愛すべきおじさまなのです。
あっと驚く仕掛けや結末というよりも、そう来たか! なるほど! みたいな、刺激的とは反対の微笑ましく穏やかな日常ミステリーでした。
シャンクスや周囲の人々がしゃれたお茶目さんなので、アメリカンジョークも炸裂で、人が殺されようが、不穏な事件だろうが、とにかく明るい雰囲気。
ちょっと刺激的なものを読み過ぎて疲れたけどミステリーに触れたいなという時にぴったりな、軽快な一冊です。
全話書いているとたいへんなので、私のお気に入りのシャンクスたちを選んで紹介していきます。
『シャンクスはバーにいる』
グライダーの叔父失踪事件について、いろんな説が出て、どれもおもしろい説でした。
さすが作家さんたち。想像力が素晴らしい。
なーんて楽しんでいたのですが
このお話のメインはそこではなかった。
これはグライダーが考えた物語の大まかな設定であって、肝である仕掛け部分をベテランたちの案から拝借しようというトリックだったのです。
去り際にシャンクスが彼にプレゼントした題材もおもしろくて、そんな物語ができあがったら是非読ませてほしいです。グライダー。
『シャンクス、ハリウッドに行く』
ついに殺人事件が……!
犯人が気持ち悪いし、絶対同じこと繰り返しそうに思います。
エドとコーラ以外はロマンティックな衝動に動かされているというのもおもしろいです。
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『シャンクスの手口』
そんな撃退法があったか〜!笑
自分や自分の何かを悪く言っている人に出くわした際の対処法。しかも、辛辣な言葉を使わずに対処する方法。
あえて、事実は違っても、あなたの方が不利になってますよって匂わせることでダメージを与えるとは。
シャンクス、さすが作家先生。言葉でだますのもお上手。
『シャンクスの怪談』
亡くなった人らしき人物から脅しの電話がかかってきたという、シャンクスの体験した怪談話なのですが、これもシャンクスは真相を自ら解き明かしたのです。
結局怪談ではなかったものの、日常ミステリーとしておもしろい仕掛けでした。
そして怪談ではないことに不満を抱いた仲間に、じつは……と話に続きがあるように切り出してジョークだよ〜と遊んじゃうあたり、お茶目さがダダ漏れなシャンクスさんなのでした。
『シャンクスの牝馬』
知り合いの馬が誘拐されたことで、仕方なく探偵をしたシャンクスのお話です。
馬を盗んだ動機が相手を陥れるのではなく試すことだったというのですが、テストにしては手荒ですし、コスパ・タイパともに悪いような。
そして辞めてやる! と言いたくなるのもわかるのですが、シャンクスが1日考えてまたなさいと言った理由がまた計算高くて、さすがシャンクス。
さらにお礼をしたいと言われて、自分のことではなく娘のためになることを提案するところは粋です。
『シャンクス、タクシーに乗る』
またまた事件解決しちゃうシャンクスおじさん。
自分を守るための説得でもあったけれど、ついでに運転手さん夫婦の離婚危機まで救ってしまうという素敵な日常ミステリーでございました。
『シャンクスは電話を切らない』
詐欺師相手に、お得意の話術や焦らしを駆使して懲らしめるショートショート。
かげながら善良市民を密かに救うこの行為がとてもかっこよかったです。
コツコツと彼は詐欺師と電話で戦う。良き。
最後に
とても愉快で微笑ましい、でもしっかりとした日常ミステリーでした。
また彼らにお会いしたいです◎