本好きの秘密基地

読んだ本への思いをありったけ書いていきます。読みたい本探し、本の感想を共有したい、おすすめ本がある(いつでも募集中だよ)。そんなアナタの場所でもあります。コメント欄で意見などを待っています。(誹謗中傷NG)

文鳥/夏目漱石

今回は夏目漱石さんの文鳥を紹介します。

『坊ちゃん』しか読んだことないので、どんな作風なのかイマイチわかっていません。

タイトルからイメージするに、ほっこりなお話かな?

さらっと読めそうなのがまた良い。

でも文豪の作品は、コンパクトだけれど言葉が知らないものだらけだったりと難しくて時間かかるイメージもあります。

 

目次

 

あらすじ

文鳥を飼いなさい」と言われて、実際に飼ってみたお話

10個の夢のお話

愛する人を大事にしたくなるお話

の3本です。サザエさん?)

 

感想

冷静沈着に、どこか他人事みたいな、そんな受け答えや心の声が、結構おもしろくさせている

感情を乗せないことで、ナチュラルなまま、こちら(読み手)に届く。

たぶん、読み手によって、取り方感じ方も変わってくるのではないだろうかと思います。

登場人物についても説明や特徴があまり語られず、最低限という感じなので、謎めいて気になるからなのか、心に残りやすいと感じました。

そしてやっぱり、この時代って(明治大正昭和あたり)、花鳥風月をふんだんに盛り込んでくれるので、情景が美しく感じて、それだけで気持ちが盛り上がったり、うっとりしたりします

日本って美しい国だなと改めて感じます。

 

夏目漱石さんだったり、文豪の描く小説は、作者その人の性格や思想、生き様が反映されていて、どんな人物だったのか想像するのも楽しいなと思う

文豪たちの描く純文学の魅力のひとつだなと気づきました。

 

文鳥

率直に思ったのは、意外に、ちょっと、いやかなり、私は嫌な気持ちになりました。(誤解が生じそうなので、最後までお読みいただけると大変ありがたい)

文鳥が変わり果てた姿になった、その後の対応にドン引きよ

三重吉は言わなかったとしても、私は残酷だと思ったさ、漱石さん。

タイトルから、穏やかな可愛らしくほっこりしたお話かなと思っていたら、違ってびっくり

最初はおもしろかったのよ。

三重吉とのやりとりが噛み合っていなくて、コントみたいだなと思っておもしろかったのよ。

三重吉が乱用する「千代千代」の話なんてツボだったのよ。

もう、びっくりよ。こんなオチになるなんて。

ダメだ、怒りに支配されてはならんぞ、私……!

(一旦深呼吸)

冷静になると、だんだん、夏目漱石さんの伝えたいことが、こういうことだったのでは……と整理できるようになりました。

まずひとつ。

生き物を育てるということは、半端な気持ちではダメだというメッセージが込められているような気もします。

責任を持ってやり遂げる覚悟を持てる人だけが、生き物を飼い、育てる資格がある。

そんなことを伝えたかったのかなと思います。

安易に生き物を飼ってはいけないし、それを押し付けてはならないと。

ふたつめ。

人間らしさが出ている対応でもあったなということ。

文鳥のその後の対応にドン引きと書きましたが、なんだか、人間らしさが溢れ出ているなと、後になって感じてきました。

面倒ごとを押し付ける。責任転嫁

自分が悪いとわかっていても、それを受け入れたくない、あまのじゃくな感じが、夏目漱石さんも人間なんだなと思わせてくれる。

ああ、残酷だけれど、

人間くさくて、わりとおもしろいじゃないの!

(最後までお読みいただきありがとうございました!)

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夢十夜

見た夢を10こ並べたお話なので、ジャンル問わずいろんなお話たちなのですが、予感通りおもしろかったです。楽しかったです。

特に第一夜、第三夜、第八夜、第九夜がお気に入りです。

美しいくて切ない夢。怪談のような夢。アホな夢。

たまに違う夢にも登場する人が出てきて、夏目さんの親しい人なんだろうなと思ったり。

庄太郎の女たらしぶりが、可愛らしくて好きです。

全部よかった。

夏目漱石さんのユーモアさがhttps://blog.hatena.ne.jp/y86chan/y86chan.hatenablog.com/edit?entry=6802418398316737771#preview際立っていたようにも思う作品でもありました。

 

『琴のそら音』

いい! めっちゃいいよ夏目さんっ!!(思わず拍手)

ほっこり癒されてきゅんきゅん。

最初は、幽霊のお話かしら、それとも悲しい結末かしら……と、気持ちを重くして読んでいたのだけれど

そうきたかーーー!!

素敵。最高。

純文学でこんなに感情が揺さぶられたの初めてです。

絶対、愛妻家。絶対、おしどり夫婦。

そうなる。絶対なる。

相手の命の危機を予感して初めて、相手の大切さや愛おしさに気づく。

そして、すこぶる心配してくれたということを他人から聞いて、その人のことを今まで以上に愛おしくなる

とても良い連鎖。

津田さん、いい仕事してくれた。ありがとう。

心からありがとう〜!!(外野がうるさい)

最後の締めくくり文句がまた最高。

書になるなんて粋な展開。

是非ともその書の『K君の例』を読みとうございます。

 

最後に

文豪のお話って、とっつきにくいと思っている方。覆るから是非とも読んでほしいです◎