本好きの秘密基地

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アンと青春/坂木司

今回は坂木司さんの『アンと青春』を紹介します。

和菓子のアンシリーズ1作目を読んでからとても間が空いてしまいました。

でもしっかり覚えているから大丈夫なはず。

青春というのだから、アンちゃんに恋の予感または発展があるのかしら。

 

目次

 

あらすじ

和菓子やお客さんがもたらす日常ミステリーを、和菓子屋で働く女の子と仲間が紐解いていく「和菓子のアンシリーズ」第二弾

 

感想

今回は和菓子の登場が前作より控えめだった印象です。

和菓子が活躍するお話は2つかな。

アンちゃんの社会人としての成長が色濃く出ていたように思います。

なので、繊細な人間関係や人間心理、社会人としての心得みたいなものが多く、共感したり、私もそんな時期あったなと思ったりしながら、そしてアンちゃん頑張れ! という気持ちで読みました。

なかでも私の好きなお話は『秋の道行き』です。

和菓子を使った謎解き、そこで登場するおもしろい和菓子、そして恋心が垣間見えて、私の好きな要素が満載でした。

またまた先が気になる終わり方をするのだから、困っちゃうな~もう!笑

『空の春告鳥』

お買い物中に聞いた、お客さんの言葉飴細工の鳥」とはどういう意味だったのか

というのが謎になっているお話です。

私も初耳なこの言葉。

答えに辿り着いて、なるほどなるほど。と思いながら、なかなか手厳しいことをおっしゃるお客様だなと……。

相手に期待しているから、わざわざそう指摘したのだと言うけれど、私がそれを実際に言われたら、そんな風にポジティブに受け取れないだろうなと思いました……笑

 

『女子の節句

おばさん、その圧力は怖いよ……!

お菓子で遠回しにとんでもなく重いプレッシャーとメッセージを伝えようとするだなんて。ドロドロしたものを感じます。

でもさ、これ、相手に伝わるかしら?

私だったら気づかないな。素敵で美味しそうなお菓子ありがとう♡と思って終わりな気がします。(鈍感も時に大事なのだ)

そしてアンちゃんの気持ちもすごくわかります。

でも昔の考えを持つ人からしたら、私たちはそれでも受け入れて乗り越えてきたのに甘ったれたことを! と思うのかもしれませんね。

最近は時代や世代の価値観の違いでのトラブルを題材にしたお話をよく目にするせいもあって、どちらの言い分もわかるな~と感じてしまいます

ここでは「蓬莱山」というおもしろいお饅頭が登場するのですが、一度食べてみたいです。

お饅頭の中にカラフルなお饅頭がいくつか入っているという、その断面をこの目で、まじまじとおもしろがりたい。

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『男子のセック』

タイトル、なんでカタカナなのかなと思っていたら、洋菓子の名前でした

これまたはじめて聞いた。別名の方はポピュラーなので知っていたけれど、そんな呼び方もあるのね!

柏木さんの言った「アヒルの意味も勉強になりました。

立花さんが柏木さんに対して放った意味深で皮肉っぽいセリフに込められた意味も、立花さんの今までの努力のことを思うと、苛立ってしまうのは致し方ないと思います。

でもやっぱり、何も知らないアンちゃんにその態度を見せるのは違います

この時のアンちゃんは空回りと立花さんの態度とで、ボロボロだったでしょう。

でもこれでまたアンちゃんも社会人として成長の一歩を遂げたような気がします

 

『甘いお荷物』

最近多いですよね。子どもの口に入るものに厳しく目を光らせるお母さま

私の知り合いにも1人、厳しいお母さまが居ります。

見ていて、やりすぎじゃないかと思うし、子どももお母さんの顔色を常に窺って若干ビクビクしているように見えるから、モヤモヤします。

もちろん口出ししないけれど。

間違っていることではないんですよね。だけどもな~。

でも、結局これも母親の愛情なんですよね。

我が子のためを思ってやっていることで。

エゴなのか愛なのか。難しい……。

 

『秋の道行き』

立花さんが和菓子にこめたメッセージの謎を解きながら、またまた知らない和菓子が登場するという、一番読み応えのあったお話です

でも立花さんよ、

難解すぎるぞ。

アンちゃんがメッセージの答えに辿り着けたのは奇跡なんじゃないかってくらい、難しいぞ!

でもおもしろかったです。

そしてやっぱり、アンちゃんのこと……(≧∇≦)

師匠のセリフの「甘酒の荷」とは、片想いという意味らしいです。

それがアンちゃんには伝わらず(私でも伝わらない)

「甘酒の煮」と脳内誤変換して考えるアンちゃんは、アンちゃんらしくて癒されました。

ここで登場する和菓子「五色生菓子」おもしろくて素敵なので、こちらもいつか食べてみたいな~。

半分がに染められたものが「日」、白が「月」、黄色が「山」、青っぽいものが「海」、茶色が「里」を表しているそうです。

自然が詰め合わされたお饅頭。神秘的でもありますね。

ちなみに絶対ではないけれど、この中の「月」にあたるお餅を取り除いてお祝いの品として贈るという豆知識も、おもしろいです。

和菓子ではないけれど、金沢21世紀美術館にある「スイミング・プール」という体験型作品もおもしろいので、行ってみたいです。

 

最後に

今回はクセの強いお客様が多めでしたが、アンちゃんの成長、そして青春らしく恋の予感もまた一段と濃くなり、楽しませてもらいました◎