写真にはないのですが、帯にこのホテルのみんな、嘘をついていると書いてあり、興味をそそられました。
あと表紙デザインが好き。(ほぼ毎回これ言っている)
こんなかわいらしい表紙の中身にはどんな嘘と謎がしたためられているのでしょうか!
目次
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あらすじ
ハワイ島にあるリピーターお断りの「ホテル・ピーベリー」。平穏な日々が過ぎる中、事件が起きる。そしてその数日後にも事件が。
相次いでホテル滞在者の事故死が起き、同時にホテルの人々の言葉に矛盾が浮き始め、それぞれの嘘が明らかになる。
連続事件は偶然が重なった事故死なのか。それとも嘘によって隠された計画的事件なのか。
感想
量も少なめでわかりやすくて読みやすいので、さらっと読めました。
時間があれば数時間で読めそうなのでお手軽です。
内容については、思っていたよりも緊迫感のない、優しい(?)ミステリーでした。
正直、ミステリー要素はそんなに強くない印象です。
最後の方になってきてミステリー感が強まりました。それまでは人間ドラマとか恋愛模様とかそんな感じの方が強かったです。
私はてっきり皆がとんでもない嘘をついているのかと思って構えていたのですが、皆ではなかった。可愛らしい嘘をついている人もいました。
主人公が個人的に、好きではない。
ある意味では、完璧好青年な主人公でないところが、リアルでいいのかもしれないけれど。そうやって冷静に考えながらも、読みながら「なんなの! どっか行ってしまえ!」と悪態をついておりました。(主人公がどっか行ってしまったら話が進まないのにね)
でも現実、こういう人が多いだろうねえ……とも思うのでした。
人間ってわからないもんね。自分は道を踏み外さない自信があっても、何かを機に一変して自分じゃないみたいってなるもんねえ。(このお話の主旨はそこじゃない)
事件のからくりについてですが
主人公と彼の友人との認識が食い違っていることが発覚したとき、私もその可能性をひらめきました!
ひらめいたときの爽快感は気持ち良かったですが、肝心の動機と、被害者との繋がりは全然ひらめきませんでした。(つまり中途半端なひらめきだった)
だって、絶対わからないじゃん! (開き直り)
最後の締め方がきれいでした。伏線回収というか、まあそんな感じです。(雑)
冷凍睡眠を夢見ていた主人公が、違う形で人間関係の冷凍睡眠。秀逸な締めくくりです。
死んだ人は、もう読めない本のようだ。彼のことを知りたいと思っても、知ることができるのはほんの表層のことだけだ。
本文P134より
活字好きな主人公らしい喩えだし、納得の考え方です。
このお話はミステリーなのですが、ハワイのことや豆知識がちらほら出てきて、その点がおもしろかったです。
特にかみさん(奥さん)の呼び方に関する知識。
「かみさんだって、元々は敬称ですよ」
「『山の神』からきているという説が強いです。もともと日本の神様は、女性だと言われています。『うちの山の神様』ですからね」
本文P24より
ためになったねえ~!(もう中が好きなのです、私)
ちなみにホテルの名前「ピーベリー」はコーヒー豆だそうです。
おもしろい知識がたくさん。
最後に
ごりごりのミステリーではないので、普段は読まない方も読みやすいと思います!
死人は出ますが優しめミステリーでした◎