今回は、汐見夏衛さんの『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』を紹介します。
めちゃくちゃ泣ける小説と聞いて興味があったものの、見た目の印象がラノベっぽくてなかなか読まないままでいました。(昔はラノベをよく読んでいたのに今は謎の拒否反応……)
ラノベは悪くないです。昔は『キノの旅』とか好きだったし。でも、なぜか最近は眩しすぎるのか遠ざけるようになっています。歳かな。(弁解)
イラスト自体はかわいくてきれいで好きです。
とにもかくにも。さて、私は無事に感動泣きすることができたのでしょうか!
目次
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あらすじ
今に満足できない少女が1945年の日本(第二次世界大戦最中)にタイムスリップ。そこで出会った特攻隊員に恋をするというファンタジー要素のある恋愛・戦争小説。
感想
久しぶりに小説を読んで涙が出ました!感動。胸が締め付けられる……。
『君の膵臓をたべたい』以来だから7年ぶりに、小説に泣かされました。
正直「感動はしても、泣くまでいかないでしょ」と軽く思って読んでいましたが、何度も泣きました。汐見さん、私の完敗です。(勝手に勝負するな)
第二章の終わりは悲しいのと胸キュンのダブルパンチでしんどかったです。
(ちなみにこの辺りから私も彰さん(特攻隊員)に惚れる)
第三章からはずっと悲しくて辛くてしんどかったです。
手紙のシーン(特に「会いたい」で苦しくなりました)とエピローグは涙腺崩壊でした。
戦時中の日常、悲惨さ、特攻隊員の心情もここで改めて身に沁みました。
全員ではないけれど(板倉さんとか)、やっぱり戦時中は多くの人が国やお偉いさんに洗脳されて、命に対する考えや思想が恐ろしいです。自分の命でさえも簡単に差し出す考え。それが美談だと思い込む恐ろしさ。内心は今の私たちと変わらない考えの人が多いでしょうに。でも国が、お偉いさんが「お国のために命を捧げろ」とか言うから。
『同志少女よ、敵を撃て』でもそうでした。
場所や立ち位置は違いますが、どちらも第二次世界大戦での出来事、思想。
とにかく、このような戦争を題材にした小説から感じるものは共通して戦争は人を狂わす。憎しみや悲劇しか生まれない。ということです。
それなのに、なぜ今も地球上では戦争が消えないのか。そう思うと苦しいです。
印象としては悲しい話ですが、救われるような展開もあって、ちょっと嬉しい気持ちにもなりました。生まれ変わりとか、本当にそういうものがあったら素敵です。
そしてタイトルの言葉。私はてっきり主人公の言葉だと思って読んでいましたが、最後の最後で……。またそこで泣きました。
彼の最期は想像を上回ったものでした。彼は最期まで心優しい人なんだなと感動しました。そしてほんの少し報われたような描写が嬉しくもあり、安心もあり、美しくもあり。でもめっちゃ泣ける。最期にありったけの素直で純粋な気持ちを浮かべて。最高に切なく美しい散り方でした。
最期のページがとにかく美しくて、ここだけでも泣けます。
素晴らしい未来を私たちに残してくれてありがとう。
あなたたちの犠牲は絶対に忘れません。
本文P266より
私も同じ気持ちです。この気持ちをずっと忘れないでいたいです。
最後に
想像以上の極上なラブストーリーで、先入観を吹っ切って読んで本当に良かったと思います。みなさんに読んでほしい作品でした◎
約1か月後の8月15日は終戦記念日です。暗い気持ちになるからと戦争に関する番組を避けず(今までは辛くて避けていた)、戦争の恐ろしさを風化させないためにも向き合いたいと思います。毎年、この日だけでも。
それが今の私にできる唯一の、戦争犠牲者への誠意だと思って。